フェルラ酸の電解重合による新規ポリマーフィルムの創製

フェルラ酸の電解重合による新規ポリマーフィルムの創製

Y. Matsushita, A. Nakamura, D. Aoki, S. Yagami, K. Fukushima
Bio-based polymer from ferulic acid by electropolymerization
BioResources, 11, 9789–9802 (2016)
https://www.ncsu.edu/bioresources/BioRes_11/BioRes_11_4_9789_Matsushita_NAF_Bio_Based_Polymer_Ferulic%20Acid_Electropolymerization_10240.pdf

稲藁や小麦のもみがら等、農産廃棄物から多量に抽出可能な
未利用バイオマスのひとつ、フェルラ酸を用いて、新規ポリマー材料の創製に取り組みました。

本実験では重合法として“電解重合”を用いました。
電解重合では、フェルラ酸の溶解した液中へ電圧をかけることで、
フェルラ酸を酸化的にラジカル化させ、重合反応を進めることができます。

本実験では電極の表面に多孔性フィルムが得られました。
電解反応によりフェルラ酸がどのような中間体を経て重合されるのか調査し、
いくつかの中間体から、興味深い反応過程を経る可能性が示唆されました。
さらに得られたフィルム中に多数の酸性基(-OH, -COOH)があることを確認しました。

従来の研究ではフェルラ酸の特徴である酸性基を反応に用いて重合することが多く、
得られたポリマーは中性化合物でした。
本手法で得られたフィルムは酸性基を活かした材料への応用が期待されます。