研究紹介
古来より様々な目的・用途で用いられてきた木質系バイオマスは、
現代においても欠かすことのできない重要な素材として、私たちの生活を豊かにしています。
しかしながらその形成過程や構造、特性には不明な点も数多く残されています。
これらを解明し、木質系バイオマスの更なる活用を進展させることは、
持続可能社会の実現に向けて必要不可欠な課題であると言えます。
当研究室は木質系バイオマスの形成過程とその構造、および高度利用に関する研究を
化学的なアプローチによって推進する研究室です。
前者については、木質成分の化学構造、量、そして時空間配置に関わる情報を集約し、
木質の形成という生物学的機構の解明に挑みます。
後者については、特に物性と構造・状態の複合的評価から機能・特性の発現機構を解明し、
既存利用法の最適化および新規機能性材料の創製を目指します。
さらに、これらの研究遂行に必要となる新規測定評価法の確立にも挑戦しています。
そのような新規測定評価法を用いた他分野との共同研究も盛んです。
最近の代表的な論文について、その概要を紹介しています。
報文・発表の全リストについては業績一覧をご確認ください。
- 植物細胞壁の構造/機能/形成過程
- 2023 イチョウのchi-chi:内部構造と成長様式
- 2023 13CO2育成でイチョウのリグニン構造をNMR定量分析
- 2020 リグニン中のβ-1構造の組み合わせ定量評価
- 2019 リグニンの新しい伸張反応を発見
- 2019 ライラック樹幹中におけるシリンギンの分布可視化
- 2017 熱帯樹グメリナ内の抽出成分分布の可視化
- 2016 イチョウ中のコニフェリン分布と木化プロセス
- 2015 モノリグノール二量体の酵素的脱水素重合に関する研究
- 2014 微量化学分析法による放射組織の研究
- 2014 顕微分光・顕微質量分析法による放射組織の研究
- 2013 ヒノキ古材の心材と辺材における無機成分の検出
- 2013 凍結イチョウのcryo-TOF-SIMS/SEMおよびクロマトグラフィー分析
- 2012 フェニルクマラン型リグニンモデル化合物のフラグメント化機構
- 化学成分の2D/3D分布可視化
- 2024 イチイ中のタキサン類の分布
- 2023 キハダ中におけるアルカロイドの分布
- 2021 樹木内部における真の脂質分布の可視化
- 2020 深浸潤処理木材中における薬剤の分布可視化
- 2019 アジサイ青色色素錯体のダイレクトマッピング
- 2017 コブシ中のサリシホリンの分布可視化
- 2017 パルプ製造工程における洗浄剤の挙動解析
- 2017 スギに投与した133Csの樹幹内移動
- 2014 cryo-TOF-SIMS/SEMによる抄紙薬品の水中挙動解析
- 2013 NanoSIMSを用いたヘアカラーの毛髪内染着部位に関する検討
- 2013 cryo-TOF-SIMS/SEMによるスギの水溶性成分の分布調査
- 木質バイオマスの化学変換による高度活用
- 2018 リグニンをコアとした星型界面活性剤
- 2017 リグニン由来の難燃性樹脂
- 2017 非フェノール性リグナンのアルカリ分解
- 2016 フェルラ酸の電解重合による新規ポリマーフィルムの創製
- 2013 硫酸リグニンの生理活性物質への変換