ヒノキ古材の心材と辺材における無機成分の検出

ヒノキ古材の心材と辺材における無機成分の検出

K. Saito, T. Mitsutani, Y. Matsushita, T. Imai, K. Fukushima
Distribution of Inorganic Elements in Heartwood and Sapwood of Hinoki Cypres Detected by TOF-SIMS
Mokuzai Gakkaishi, 59, 353–360 (2013).
http://dx.doi.org/10.2488/jwrs.59.353

三十三間堂(約500年)と法隆寺(約1300年)のヒノキ古材についてTOF-SIMS分析を行いました。

数百年以上が経過した古材は、退色が進んでしまうため、
心材と辺材との境界、年輪などについての分析が困難になります。
しかしながら化学成分に基づいてイメージング分析を行うことで、
伐採年の決定などに有力なデータを得られる可能性があります。

ヒノキの心材成分(ヒノキニン)および無機物(Na、K、Ca)の分布をTOF-SIMSで分析したところ、
ヒノキニンを用いて心材・辺材を区別することが可能でした。
また無機物の分布は木材の保存環境等によって変化する可能性が示唆されました。