モノリグノール二量体の酵素的脱水素重合に関する研究

モノリグノール二量体の酵素的脱水素重合に関する研究

Y. Matsushita, C. Ko, D. Aoki, S. Hashigaya, S. Yagami, K. Fukushima
Enzymatic dehydrogenative polymerization of monolignol dimers
Journal of Wood Science, DOI: 10.1007/s10086-015-1513-8 (2015)
http://doi.org/10.1007/s10086-015-1513-8
 
リグニンの前駆体であるモノリグノールは、酵素的脱水素ラジカル化を受け、
モノリグノール同士のラジカルカップリングにより二量体となります。
二量体化の過程については様々な研究報告がありますが、
二量体以降の高分子へと至る途中経過については未だ不明な点が多く残されており、
リグニンの構造解明における重要な課題となっています。
 
本研究では、二量体化後の反応過程に焦点を当てて実験を行いました。
モノリグノール二量体には、その結合様式の違いからいくつかの種類がありますが、
それらの二量体と酵素との反応性は異なっており、ラジカル化されやすいもの、されにくいものがあります。
複数種の二量体を共存させて反応させたところ、異種二量体の存在により、
消費速度が加速されるものと、減速されるものがあることを発見しました。
また二量体同士の反応による四量体、六量体、八量体・・・の形成を確認しました。
 
このことから、モノリグノール二量体間でラジカル移動が起こっており、
高分子量化過程に大きな影響を与えている可能性が示唆されました。