リグニンの新しい伸張反応を発見
Y. Matsushita, Y. Oyabu, D. Aoki, K. Fukushima
Unexpected polymerization mechanism of dilignol in the lignin growing
Royal Society Open Science, 6: 190445 (2019)
DOI:10.1098/rsos.190445
リグニンが高分子化していくプロセスは複雑です。
最初にモノリグノールといわれる単量体がラジカル化し、
2つのモノリグノールラジカルがカップリングしてジリグノールとなります。
その次は、ジリグノール+モノリグノール、
ジリグノール同士、などの反応が続くと考えられています。
ここで主要なジリグノールのひとつである
Β-5型ジリグノールについて、
従来はB環の4位OHおよび5位の2箇所しか
反応できないと考えられていました。
しかしながら今回、A環β位を13Cで標識したジリグノールを合成し、
人工リグニンを合成したところ、
A環β位を反応点とした構造が生じていることが確認できました。
この発見により、リグニンの構造多様性が
従来解釈よりもさらに広がったといえます。
リグニンの構造と機能の理解、ならびに活用に向けた重要な知見となるでしょう。